名号岩と烏原貯水池― 神戸市兵庫区烏原町 ―
神鉄鈴蘭台駅の南側に君影町という住宅地がある。鈴蘭の別名を君影草と呼ぶことからつけられたそうである。この住宅地の南端、君影小学校の東に「イヤガ谷東尾根入口」の案内板が立っている。ここから鵯越まで快適な山歩きの道が続いている。
歩き始めてほどなく、「名号岩」という標識に出会う。これを左に折れて10分ほど歩いたところに名号岩があるはずだが、絶壁の上からいくらのぞいても名号は見えない。危険だから行かないほうが良い。
1860年ごろ極楽寺のご住職が「南無阿弥陀仏」の名号を独力で絶壁に彫ったという。
以前は神鉄の電車から見えたそうだが、ダム建設のため線路が付け替えられ、今は下からも見ることはできない。平成17年に石井ダムが完成すれば、ダム近くまで歩いて名号岩を下から拝むことができるようになるだろう。
電車の警笛を左下に聞きながら山道を下って行くと、鵯越駅方面と烏原へ行く道とに分かれるので烏原貯水池へ向かう。烏原貯水池は1905年神戸市の上水供給のため建造されたもので、石を積み上げて造ったダムは国の文化財に登録されている。

烏原貯水池
昔ここには烏原村という村落があって、村人は水車を利用して石臼を回し線香を製造して生計を立てていた。ダム建設のため立ち退きを余儀なくされ、村は水没したという。当時使われていた石臼が護岸の一部に烏原村の記念として埋め込まれている。160個の石臼が一列に並んでいる風景は壮観で一見の価値がある。
この道は平安時代に平清盛が丹生山参拝の道として開かせたといわれている。すなわち福原から烏原村、名号岩、今の鈴蘭台、藍那、丹生山というコースである。清盛はこの道を通って毎月丹生神社に参拝していたという。
湖畔のベンチで弁当を広げ、しばらく散策してダム下の道を川沿いに下れば石井町である。
(地図や標識では名号岩、妙号岩の二通りの記述が用いられていますが、本文では名号岩を用いました)
文:廣川 幾雄





































